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守屋前次官喚問 ますます疑念が深まってきた(11月16日付・読売社説)

 過剰なゴルフ接待を受けてきた相手が逮捕されるという新たな局面での証人喚問である。

 参院外交防衛委員会は、守屋武昌・前防衛次官を証人喚問した。前次官は、東京地検特捜部が業務上横領容疑などで逮捕した元山田洋行専務の宮崎元伸容疑者との長年の密接な関係を改めて認めた。

 「それが刑事罰に該当するなら、逃れる考えは全くない」と明言した。退職金を返納する意向も示した。安全保障を担当する行政のトップとして、信頼を大きく損なった以上、当然だ。

 守屋前次官は、宮崎容疑者との宴席に同席した政治家が、防衛長官を経験した額賀財務相と、久間元防衛相であることも明らかにした。二人とも「記憶にない」と語っている。だが、これで疑念が払拭(ふっしょく)できるのかどうか。

 喚問のポイントは、守屋前次官が、宮崎容疑者側に職務上、有利な取り計らいをしたことがあるかどうかだった。

 守屋前次官は2003年、航空自衛隊の次期輸送機(CX)のエンジン選定に、当時の防衛庁の装備審査会議議長としてかかわった。採用された米ゼネラル・エレクトリック社製エンジンの販売代理店が山田洋行だった。

 守屋前次官は、10月29日の衆院テロ防止特別委員会の証人喚問で、山田洋行が販売代理店だったことを、「承知していなかった」と証言した。だが、装備審査会議で配布された資料に山田洋行の社名が記されていたことが判明し、偽証の疑いも指摘されていた。

 守屋前次官は、今回の喚問でも「そのような記憶は一切ない」と断言した。

 山田洋行がヘリコプター装備品の代金を水増し請求しながら、処分が見送られた問題についても、「記憶は一切ない」と証言し、担当課に処分の見送りを働きかけたことなどを否定した。

 特捜部は、防衛省の現職職員らの一斉聴取に乗り出している。守屋前次官の証言内容が事実かどうかを調べるのが、主な狙いだろう。

 衆参両院での証人喚問を通じ、「防衛利権」を巡る防衛省と業者の不適切な関係が、改めて浮き彫りになった。防衛省は官製談合事件などを繰り返してきた。信頼回復のため、今度こそ、不祥事を生む土壌を一掃せねばならない。

 両院での証人喚問で国会は疑惑解明に一定の役割を果たしたのではないか。

 無論、今後も真相究明に取り組むにしても、参院外交防衛委の最重要課題は、インド洋での海上自衛隊による給油活動再開のための新テロ対策特別措置法案の審議をしっかり進めることである。

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