NIKKEI

社説1 あとは捜査に待つ守屋氏の疑惑糾明(11/16)

 「刑事罰に該当するというのであれば、それを逃れる考えは全くありません」。防衛専門商社「山田洋行」の元専務から受けていた常識はずれの接待について、守屋武昌前防衛事務次官は、15日の参院での証人喚問でそう証言した。

 10月末の衆院での証人喚問で守屋氏は接待ゴルフに関し「200回を超えるが、1回1万円を負担した」と証言した。ところが15日午前中に参院参考人招致された山田洋行社長は「300回以上。1万円が社に入金された記録はない」旨、述べた。ことほどさように、守屋氏と元専務の間でどんな接待や贈答があったのかの事実関係すら、本人の証言だけでは確かめられないのである。

 まして元専務がどのようなつもりで接待を続け、守屋氏が何を感じながら接待を受けていたのかなど内心の問題は、証人喚問で真実を突き止められるものではないし、もともとそれは国会の役割ではない。

 守屋氏と元専務の付き合いから生じた防衛利権を巡る疑惑の糾明は、もはや捜査機関に委ねるところに来たと言えよう。

 元専務らを業務上横領などの容疑で逮捕した東京地検特捜部はすでに、守屋氏の周辺に捜査の手を伸ばしている。防衛省職員や、山田洋行が代理店契約をした航空機エンジンメーカーの社員を参考人として事情聴取し始めたと報じられており、守屋氏が接待の見返りに元専務側に有利な取り計らいをしていないかを検察は調べている、とみられる。

 喚問で守屋氏は、元専務側に便宜など一切図っていない、と証言したので、捜査の進展次第で議院証言法違反(偽証)の疑いも出てくる。

 刑事罰うんぬんの言葉に続けて守屋氏は「私のことをもって(防衛省の)組織全体がゆがんでいるとか、マヒしているとか考えないでいただきたい」と訴えた。しかし国民が抱く思いは自民党議員が質問したように「なぜ防衛省で不祥事が続くのか」である。今回の捜査が、防衛省の不祥事の温床を明るみに出す突破口になることも期待したい。

 国会など政治の場で取り組むべき課題も残る。この日の喚問で「元専務と宴席を共にした防衛相(防衛庁長官)経験者」の名が初めて明らかにされた。名指された額賀福志郎久間章生両氏には十分な説明が求められる。「なぜ防衛省で不祥事が続くのか」の答えを見つけ、根本的な対策を考えるのも政治の責務だ。こうした責任を果たすことと、給油新法案の審議は切り離して進めるべきであるのは言うまでもない。

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